2011年10月3日月曜日

実践的外国語(英語)に携わる言語教師研修カリキュラム


実践的外国語(英語)に携わる言語教師研修カリキュラム

機関番号:32409
研究種目:基盤研究(C
研究期間:20082011
課題番号:20520515
研究課題名(和文) 
    LSP教員研修を基盤とした実践的外国語(英語)教員研修カリキュラムの構築
研究課題名(英文) 
    Practical Language (English) Teacher Education Curriculum Development Based on LSP
研究代表者
笹島茂 
研究者番号:80301464

本研究は、LSPの理念を基盤とした教員養成と研修システムの枠組の構築を最終目的として設定した、平成1719年度実施した文部科学省科学研究費補助金基盤研究(C) 「外国語(英語)教員研修実態調査に基づくLSP 教員養成・研修システム開発」(課題番号17520395)の継続研究として、実践的外国語(英語)教員研修カリキュラムの構築を目的として実施した。

4.1. 理 念
ここで述べているLSP (Languages for Specific Purposes) 教員とは、学習者の求める外国語ニーズを基盤として、学習者のために明確な目標を設定して、学習計画を作成し、学習の場面、活動、教材などを選択し、学習の機会を与え、支援し、診断し、評価できる教員である。主に、専門分野や仕事に特化した外国語指導に携わるが、必ずしも高等教育や成人教育に限ることなく、場合によっては初等中等教育においても対応できる資質を要する。たとえば、スポーツや芸術活動などに必要な言語能力、数学や理科等の教科内容の理解に必要な言語能力、海外生活に必要な言語能力など。LSP教員の養成と研修は、上記のLSP 教員を育成し、その専門性を高めるために実施されるプログラムである。

しかし、LSP教員という用語の一般的理解は、「分野に特化した特定目的のための言語(教育)」という意味であり、誤解を生じるので、本研究で目的とする言語教師を「実践的外国語教員(Practical Language Teacher)(以下PLT)」と呼ぶことにする。

4.2. 目 標
PLTの養成と研修の目標は、中学校や高等学校の英語教員養成や研修の現行システムにかかわる人的資源と施設・設備を利用して、知識と技能を持った、様々な分野や仕事に必要な外国語指導者を育成し支援することにある。

4.3. スタンダード
上記の理念と目標のもとに、PLTとしてのスタンダードを下記のように設定する。ここで言うスタンダードとは、「養成や研修で修得する専門的知識や技能の基準のことで、養成や研修の各段階や場面において、PLTとして資質を身につけているかの目安」とする。

さらに、PLTとしての要件を次のように設定する。

l   CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)(ヨーロッパ言語共通参照枠)におけるCRL (Common Reference Levels)(共通参照レベル)の5技能と6レベル、あるいは、それから派生して作成されている RLD (Reference Level Descriptor)(参照レベルディスクリプター)に理解していること。
l   CEFRを教育に具体的に取り入れる方法としてのELP(ヨーロッパ言語ポートフォリオ)の考え方を理解し、学習者の自律(learner autonomy)を奨励すること。
l   CLIL (Content and Language Integrated Learning)(内容と言語を統合した学習)の理念を理解し、状況に応じて対応できること。
l   LSPの理念を理解し、状況に応じて分野に特化した言語教育を提供できること。

上記の要件は、これまで調査した各国の言語教育事情を考慮して、日本の外国語教育と外国語教員養成と研修の実態に鑑みて設定した要件である。外国語教育と外国語教員に関して具体的に調査した国は下記のとおりである。

アメリカ合衆国、英国、イタリア、スペイン、フィンランド、スウェーデン、オーストリア、オーストラリア、香港、シンガポール、台湾など

上記の国は実際に現地に赴き、教員と話し、また、授業や教員養成研修を参観した。さらに、LSPに関しては、これまでの先行研究を踏まえ、理念を日本的に改めたが、現在の日本の外国語教員、特に、中等教育における英語教員に対して、最も求められる観点である。

これらの観点をもとに、次のようにPRTのスタンダードを改定して定めた。

スタンダード1:外国語の知識と技能
スタンダード2:外国語授業運営の知識と技能
スタンダード3:学習者の外国語学習目標の明確化
スタンダード4:学習者の外国語学習ニーズに沿ったカリキュラム設計と評価
スタンダード5:学習者の学習履歴の把握と学習方法の支援
スタンダード6:学習段階、科目内容、分野、仕事などのディスコースコミュニティの理解
スタンダード7:教育目標、学校文化の理解と外国語教育の専門性
スタンダード8:外国語使用のジャンル(場面や社会文化など)に対する理解
スタンダード9:初等教育から高等教育まで系統的外国語教育理解
スタンダード10:評価測定方法に関する知識と技能

以下上記の10のスタンダードを具体的に育成するためのカリキュラムを提示する。


下記よりダウンロードしてください。


成果報告書